管理会社の選び方① ~管理会社との付き合い方について考える~

マンション管理士

マンションの管理には、大きくわけてふたつの形があります。

ひとつは、マンション管理会社への委託。
もうひとつは、自分たちで管理する自主管理。

最近では、新築だと販売時点で管理会社とその委託内容があらかじめ決まっているパターンがほとんどかと思います。
しかし、自主管理のマンションももちろん存在していますし、そうした自主管理から管理会社への委託を検討したいとか、現行の管理会社からの変更(リプレイス)を検討したい、という相談をよく耳にします。

そこでこの度、とある相談をいただいたことに触れつつ、こうした管理会社を巡る管理組合の悩みについて、当ブログでもいくつかの記事にわたって考えていきたいと思います。

Q:「管理会社はどうやって選べばいい?」

・自主管理マンションの区分所有者です。
今まで進んで管理を引き受けてくれる方がおられ、共用部分の清掃や金銭の出納管理など、任せきりになるのはよくないとは思いつつも、その方にみんなが頼ってしまう形が長く続いていました。
ところがその方も高齢になり、この度長期入院の可能性が出てきたと聞き、今後はその方に頼ることが難しくなると気づきました。

そうしてようやくこのマンションの管理について区分所有者たちで考えるようになったとき、その管理の負担に気づき、今まで甘えさせていただいていた方に多大な感謝をするとともに、今後は管理会社に管理を委託する方が良いのではないか、ということになりました。
しかし、管理会社を探すとはいえ、どういう風に管理会社を探したものかがわからず、結局何も進んでいません。
インターネットで管理会社選びについて調べてみても、「マンション管理士などの専門家を活用し、慎重に管理会社を選びましょう」というような情報はよく目にします。

でも、慎重になろうにも、どんなマンション管理士にどんな風に相談すべきかがそもそもわからず、二の足を踏んでいるのが現状です。
何かアドバイスをお願いします。

A:「大きく分けて、2本柱で考えてみてはいかがでしょうか」

「マンション管理」という、一見同じ商品(サービス)を提供しているマンション管理会社ですが、その中身はもちろん様々です。
これまで、マンション管理サービスを購入することをあまり意識されてこなかったとしたら、確かにどのようなサービスが自分たちにマッチしているものか、判断もつけづらいことかと思います。

例えば、これが普段の生活に継続して必要な食料品や衣料品であれば、

・なにはともあれ価格が安いことが大事
・多少高くても質が良ければOK

等々、性格やタイミングによって様々な指標があるとは思いますが、いろいろな類似品と比較検討し、よく吟味してから購入に至ることがほとんどのはずです。

しかし、様々な指標と言っても、

・価格は安ければ安いほどありがたいが、その中でもできるだけ質がいいものにしたい

という方がほとんどなのではないでしょうか?

これをマンション管理に即して言い換えれば、

「背伸びせず、今後の生活に不安なく買い続けられる価格で買えるものの中で、いちばん質がいいものが欲しい」

つまり、

①管理組合にあるお金と支出のバランス
②管理組合が求める管理にきっちりマッチする

という2本の柱が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

①管理組合にあるお金と支出のバランス

まず気に留めていただきたいことは、その費用の出自です。

管理組合はマンション管理会社と契約し、契約金や管理委託費を継続して支払うことになります。

それらの費用は、区分所有者のみなさんが積み立ててきた管理費から管理会社へと支払われるため、自分の財布からお金が出ていく感覚が薄れがちなのが事実です。
(クレジットカードで買い物をしても、財布から現金が減っていくわけではありませんから、気が大きくなって失敗してしまう、というようなケースに近いものと思われます。)

ですから、まずは
「みんなの共有している財布から、管理会社に管理を委託している」
という意識をしっかりと持ち、財政状況をよく把握することが大事なのです。

自分たちの財政状況に対して、あまりに高すぎる管理費を支払うことは言語道断です。

“大手だから”とか”強くおすすめされたから”とか、提示されたものを”なんとなく”選んでしまうと、痛い目を見てしまうことになる可能性があります。

昨今、大規模修繕を巡るトラブルなどが報道されていることが目立ちつつありますが、これは残念ながら管理会社から言われるがままに大規模修繕を進めてしまったことが原因であるケースが多いようです。

やはり管理会社も営利企業ですし、目先の利益やバックマージンを当て込んで業者を選定してしまい、結果としてずさんな工事や的外れな修繕がもたらされる。

そんな悲しい不利益が管理組合にふりかかることのないよう、”疑いましょう!”とまでは言いませんが、やはりある程度、管理会社を監査するような目線は必要だと思います。

適切な費用が適切なところに使われていることが大切なのです。


そして、それと並行して「質が良いもの」、つまり

②管理組合が求める管理にきっちりマッチする

とは何なのか、ということについてしっかりと考えることも大切です。

これについては、長くなるのでいったん記事を分けたいと思います。

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