これまで2回に渡って、マンション管理士の特徴的な性質について”マンション管理士の選び方”という観点から解説してきました。
続く今回は、マンション管理士がきっちりと管理組合や区分所有者をサポートすることができる体制にあるのかどうか、「マンション管理士賠償責任保険」などの制度について見ていきたいと思います。
※前回まで
マンション管理士の選び方① ~管理を誰かに頼みたくなった時のファーストステップとは~
マンション管理士の選び方② ~どうしてマンション管理士に頼めばいいと言われているの?~
管理組合・区分所有者に安心をプラス
さて、「マンション管理士賠償責任保険」という保険が、どうやらマンション管理士や管理組合・区分所有者にとって味方になってくれるようなのです。
まずは、こちらをご覧下さい。
→マンション管理士賠償責任保険概要(紹介冊子)
※こちらの冊子、私は紙媒体で手元にありますが、こちらは福岡県マンション管理士会がサーバーにアップしているもののようです。拝借させていただきました。
いろいろと保険の内容について説明がなされていますが、簡単に説明させていただきますと、
「マンション管理士がその業務を遂行する際、万一管理組合の管理者や区分所有者などに損害を与えてしまった時、
・そのマンション管理士が被害者にお支払いするべき損害賠償金
・訴訟に発展してしまう場合の訴訟費用、弁護士費用
などについて、その支払いを肩代わりする」
という、損害保険ジャパン日本興亜株式会社(損保ジャパン)が提供する保険なのです。
※この保険には、日本マンション管理士会連合会(日管連)に所属するマンション管理士でなければ入会することができません。
…なるほど。これはすごい保険です。
でも、これの何がすごいのか、ということについてはまだピンと来ていない方が多いのではないでしょうか。
ではここで、少し目線を変えて考えてみましょう。
例えば、一般的な不動産業(宅建業者)なら、以下のどちらかが営業を開始するにあたって必須となっています。
・開業するにあたって営業保証金として1000万円を供託する
(取引などでトラブルになった場合、被害者に支払われる保険金のようなものをあらかじめ預けておく)
・同様の保証を行う協会に継続入会する
(もちろん、保証分担金としての60万円や入会金・年会費などの費用負担があります)
つまり、モグリの宅建業者でない限りは、必ずどちらかの保証を受けている=被害者救済の手段が強制的に担保されている
ということになりますね。
でも、マンション管理士にはそのような仕組みが存在しないのです。
あくまでマンション管理士は個人で営む士業であり、日本マンション管理士会連合会(日管連)などの団体にに所属してもしなくても営業することができます。
営業保証金などによって被害者を救済する手段については強制されていないわけです。
マンション管理士が信頼を得て活動していくために
もちろん、資産が何千万をゆうに超えるような管理士であれば話は別です。
万一トラブルで多額の損害賠償金が発生したとしても、対応できるだけのキャパシティがあります。
でも、現実問題、そんな管理士がいたとしても一握りのはず。
何百万、数千万といった損害賠償には簡単に対応できない管理士が多いのではないでしょうか。
事実、私もそのひとりです。
でも、このマンション管理士賠償保険があることで、万一のトラブルの際にも被害者救済の道が担保されている。
これだけで、頼む側の安心感は段違いとなるはずです。
ただ、ひとつだけ大切なことがあります。
上記で少し触れていますが、このマンション管理士賠償責任保険には、日管連の会員会に所属するマンション管理士しか入会することができないのです。
日本マンション管理士会連合会、略して日管連という団体については、私のブログでもたまに登場しています。
管理士としての方針の違いから、おそらく全国的に、日管連に所属していないマンション管理士の団体が様々にあるはずです。
ただ、実際に自分が管理組合や区分所有者の目線で考えてみたとき、安心して業務を任せられるかどうかという点では、やはり賠償責任保険に加入しているマンション管理士だなと感じます。
正に、管理組合や区分所有者はもちろん、マンション管理士本人にとっても安心をプラスできる保険ということですね。
更に、日管連が今熱意を持って整備に取り組んでいる制度として、管理組合損害補償給付金制度というものがあります。
こちらについて説明しようとするとまた長くなってしまいますので、次回で日管連と管理組合損害補償給付金制度について、詳しくお書きしたいと思います。
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