過去3回に渡って、”マンション管理士の選び方”と銘打ち、マンション管理士の持つ特色などを紹介してきました。
第4回となる今回は、2点に焦点を絞って解説を進めたいと思います。
今回は、マンション管理士が持つバックグラウンドとして大きな意味を持つ
・日本マンション管理士会連合会(日管連)
と、その日管連が今後のために力を入れて取り組んでいる
・管理組合損害補償給付金制度
という2点について、ズバリ解説していきます。
※
第1回→マンション管理士の選び方① ~管理を誰かに頼みたくなった時のファーストステップとは~
第2回→マンション管理士の選び方② ~どうしてマンション管理士に頼めばいいと言われているの?~
第3回→マンション管理士の選び方③ ~これで依頼者も安心?マンション管理士賠償責任保険~
日管連 ― そのマンション管理士全国組織としての強み
当ブログにおいて、私がこれまでお書きしてきた記事の中にも、たびたび日管連という言葉が登場してきています。
日管連とは何か?と尋ねられれば、簡潔に言うならば、
マンション管理士の全国的組織
だということになります。
この日管連に所属することは強制ではありませんから、登録せずともマンション管理士として営業することは可能です。
基本的にマンション管理士は個人で営む士業であるため、日管連の会員となったところで、日管連から直接的に相談業務や顧問の依頼などが来るわけではありません。
じゃあなぜ日管連に所属する必要があるのか?
それは、日管連に所属していなければ利用できない制度や業務があるからです。
そう、前回の記事でも紹介した”マンション管理士賠償責任保険“や、後述する”管理組合損害補償給付金制度”などですね。
こうした制度の整備などを通じて、統一的に全国のマンション管理士が業務を行いやすくするような取り組みを進めてくれている、という風に私は捉えています。
(正確には、各都道府県のマンション管理士会が加入している形で、各管理士は日管連とマンション管理士会の両方に加入することになります)
日管連の目玉?管理組合損害補償給付金制度とは
現在、日管連が積極的に取り組んでいることとして、管理組合損害補償給付金制度があります。
→管理組合損害補償給付金制度
(日管連ホームページより)
これについては、私もまだ正確に把握しきれていないのが正直なところです。
簡単に言うならば
・日管連が所属マンション管理士の不正行為による損害を補償する
(マンション管理士賠償責任保険は損保ジャパン)
・賠償責任保険の上限保険金が1000万円であることに対し、損害補償給付金の上限は1億円
・マンション管理士が管理組合の役員等を務める、第三者管理の場合に適用される
といったもので、
相談業務などの日常的な業務 → マンション管理士賠償責任保険
第三者管理で多額の資産を取り扱う場合 → 管理組合損害補償給付金制度
というような立ち位置ということになるはずです。
この制度については、かなり大きな額を扱う大掛かりなものになりますから、もちろんと言っては何ですが、日管連により
「認定マンション管理士」
として認められなければ、この制度を利用することができません。
そして、そのための講習&試験がこの7月に開催されることが決定したため、私も参加してしっかりと内容を把握して参ります。
以前に触れたADR(裁判外紛争解決手続)の取り組みも、長い年月をかけて日管連が制度を整えてきたことももちろんながら、この管理組合損害補償給付金制度については日管連がとても強い熱意を持っていることが伺えます。
実際、認定マンション管理士となる講習&試験の開催を待ちわびていた管理士も多く、受講者の数もなかなかのものになることが予想されます。
私も、この制度が現実に機能し始めたならば、第三者管理がもっと世の中に浸透することが期待できると考えています。
第三者管理では、大規模修繕費用などの多額の資金を取り扱うこととなります。
そんな時、この制度があれば、管理組合や区分所有者の安心感についてかなり貢献することができるはずですから。
私は”なんとなく”でしたが…笑
ちなみに、私はマンション管理士試験に合格したあと、日管連にただ”なんとなく”所属しました。
試験に合格しただけでは実務なんて右も左もわかりませんし、何をするにつけてもおっかなびっくりです。
なので、一番メジャーな団体に見える日管連にとりあえず所属してみようと考えたのです。
もちろん、管理士としての方針の違いなどから、日管連に所属せずバリバリ活躍しているマンション管理士も全国的にたくさん存在します。
日管連とは別で、独自に地域ごとにマンション管理士団体として動き、セミナーや相談会などを開催している団体も見られます。
そこで、この記事をお読みいただいた方に誤解していただきたくないので明言しておきますが、
所属する団体と、各管理士のもつ能力とは無関係
だという風に私は強く考えています。
ただ、
・日管連所属で賠償責任保険や保証金給付制度を利用しているマンション管理士
と、
・他団体所属で、保証などを利用できないマンション管理士
とを比較した際はどうでしょうか。
安心して業務を任せられるかどうかという点では、前者の日管連所属のマンション管理士が一枚上手となることは、客観的に避けられないのではないかと思います。
私は特別、日管連に所属しているマンション管理士であることを誇る気持ちになったことはありません。
何もわからない状態で入会したわけですから、実際に参加してもメリットなどを感じられなければすぐに脱会すればいい、と考えていました。
しかし、いろいろな仕組みを少しずつ理解できてきた今、フラットに考えたとき、
「日管連に所属しているということが、管理組合や区分所有者に安心を与えることができるのなら、日管連に所属しておいてよかったな」
と今では考えています。
コメント