宅建士って、何なんだ?

宅地建物取引士(宅建士)

マンション管理士という資格が、マンション管理士単独では強力な武器としづらいという現状は辛いものですが、一朝一夕でこの現状を変えるというのもかなり難しいでしょう。

実際、同じ不動産業界というカテゴリーの中にある資格としては、宅建のポピュラーさには到底かなわないわけで、それは書店のコーナー展開などを見るにつけても明らかです。

事実、私も宅建を一般常識のような形でブログの中で表現してしまっている部分もあったかと思いますが、ふと考えてみれば、それは私が不動産業界になじみがあるから、というだけのお話。

宅建といきなり言われても、それがどのくらい業界に浸透しているのか、どの程度重要なものなのか、ということも書いておこうと思いました。

以前も宅建業法の改正について書きましたし、今後資格試験についての記事を増やすにしても、マンション管理士や宅建において共通する試験範囲も多いですし、宅建について書く機会も多いことでしょう。

ということで、今回は宅建の概説的な位置づけで書きたいと思います。

宅建?宅建士?何なんだ?

宅建とは、ズバリ簡潔に表現するとすれば、「宅地建物取引業に必須の国家資格」です。
宅地建物取引業とは、いわゆる一般的な不動産業のことです。

宅地や建物の売買・賃貸などの取引を行う業、ということで、略して宅建業。

町中でよく見かけるタイプの不動産屋は、基本的には宅建業者だと思って差し支えないかと思います。

そして、宅建という資格の正式名称は、「宅地建物取引士」です。

名前がそっくりですね。なんだか重要な関係がありそうです。

それもそのはず、

「宅建業者として営業するためには、従業員の5人に1人の割合で宅建士が在籍していなければならない」

という風に法律で決められているのです。これに違反した場合はもちろん業務停止などの罰則があります。

なるほど、やっぱりこれは重要な資格ですね。

これこそが、宅建が必要と言われる理由であり、事実として高いニーズと人気を誇る国家資格であることの理由なのです。

実際、どんな仕事をする資格なの?

「でも、そんなに大切な資格なんだったら、ものすごく難しい仕事なんじゃないの…?」

と、不安になった方はいらっしゃいませんか?

確かに宅建士には、宅建士にしかできない独占業務がありますし、(どんな仕事にも当てはまると思いますが…)適当にこなしておけばOK、というような仕事ではありません。

しかし、誠実さや向上心を持って丁寧に取り組むことができれば、特別難しい機械の操作や、弁護士並の強靭な法律知識を要求されるような過酷なものではありません。

では、もう少し具体的に、とあるケースを仮定しつつ、宅建士の仕事内容を説明します。


「犬と一緒に暮らせるマンションに住みたいんですが…」

という方(Aさん)が、宅建業者(わかりやすく、X不動産としておきます)の元を訪れました。

X不動産は、親身になってAさんのために、条件に合うマンションを探します。
その甲斐あって、Aさんは気に入ったマンションを見つけることができました。

そのマンションには、実際にX不動産がAさんを下見にお連れしたとき、犬の散歩にでかける住人を見かけましたし、家賃などの条件も合うということで契約締結。

無事にAさんが新生活を始めて数週間後、

「大家さんからペットは禁止だと言われた」

とX不動産に連絡が入りました…。


いかがでしょうか。

上記の事例は、実際に宅建業に従事したことがない方にも、なかなかマズイ事例だということがなんとなくお分かりいただけるのではないでしょうか。

実際には、このようなトラブルを避けるため、宅建士が契約前に、お客様がどのような物件についてどういった取引をするのか、ということをしっかり説明しなければなりません。

上記の例であれば、Aさんが借りようとするマンションが、

「鉄筋コンクリート10階建て、2LDK、55㎡の部屋」

というようなことはもちろんのこと、

「ペット飼育ができるかどうか」

ということなども、大家にしっかり確認を取って、X不動産の宅建士が重要事項説明書というものを作成します。
(その重要事項説明書には、宅建士がしっかりと記名し、押印することも法律で定められています。責任の所在ですね。)

そして実際にAさんと対面して、X不動産の宅建士がそれを説明し、理解してもらわなければなりません。

そこをクリアして初めて、取引を進めることができるのです。

上記の事例では「住人がマンション内で犬を飼っていた」ということで、ペットOKとして説明してしまったのかもしれませんが、それは言い訳にはなりません。
※例えほかに犬をこっそり飼っている人がいたとしても、根本的にペット不可であれば、それはペット不可なのです。
見かけた住人がたまたま盲導犬を特別に許可されて飼っている人だったのかもしれませんし、たまたま犬を連れて遊びに来ただけの人なのかもしれません。

このようなトラブルは、大切なお客様であるAさんへの多大な迷惑や損害を与えてしまうばかりか、Aさんが大家から立退きを要求されたとすれば、X不動産に対する損害賠償請求があることも考えられます。

というようなトラブルを避けるため、物件や取引についてのスペシャリストである宅建士が必須とされているのです。

宅建には今後も要注目!

宅建は、以前は「宅地建物取引主任者」という正式名称でしたが、平成27年より「宅地建物取引士」に名称変更されました。

これについては、”主任者から士業への格上げだ”と騒がれていました。

ちなみに、下記はWikipediaの引用(とりあえず注釈番号もついたままコピー&ペーストしました)です。

「宅地建物取引士」の英名は「Real Estate Notary」である。
「宅地建物取引主任者(旧資格名)」の英名は「Real Estate Transaction Specialist」[3][4]であったが、2016年11月現在、「宅地建物取引士」の直接的な翻訳は省庁レベルでは無い為、宅地建物取引業法(法第74条、64条2項)に規定される宅地建物取引業協会連合会、及び宅地建物取引業保証協会の翻訳[5]により「宅地建物取引士」の英名は「Real Estate Notary」とされる。

Wikipediaより引用

つまり、”Specialist(スペシャリスト)”ではなく、”Notary(公証人)”とした、ということなんですね。
なんとなく英語のほうが分かりやすい気がします。

単なるスペシャリストであるというだけでなく、

「この物件や取引については、宅建士である私がしっかり目を通して、正当なものであると証明します」

という意味合いでしょうか。


格上げかどうかについては、実際は

・特に新しい独占業務が増えたわけではない
・試験制度に変更もない

という現状ですから、今のところ特別格上げされたという実感はほぼない、というのが正直なところです。

しかし、今後どうなっていくのかということについては未知数です。

次の機会には、マンション管理士と宅建の相性などについても考えたいと思います。

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