これまで2度に渡って考えてきた”管理会社の選び方”ですが、少し長くなり記事も分かれてしまいましたので、要点をまとめておきたいと思います。
・自主管理だが、これまで特定の人(区分所有者)に管理をまかせっきりだった
・高齢などにより、その方に頼ることが出来なくなる事情ができた
・自主管理を続けるより、これからはマンション管理会社に委託するほうが良い、と言う結論に達した
・しかし、管理会社はたくさんあるし、どこにお願いすればよいのかがわからない。
といったご相談を頂戴しました。
この相談者様はかなり暗中模索されている様子だったため、”まずは根本的なところをサポートしなければ”と考えました。
そこで、私からは大きな2つの指標を提案させていただきました。
それは、
①管理組合にあるお金と支出のバランス
②管理組合が求める管理にきっちりマッチするか
ということです。
※前回まで
管理会社の選び方① ~管理会社との付き合い方について考える~
管理会社の選び方② ~何を?どこまで?はっきり意識しましょう~
①「管理組合にあるお金と支出のバランス」
管理会社に管理を委託するには、管理(業務)委託費などの支出が継続して発生します。
そして、その費用の出どころは、これまで区分所有者の方々が積み立ててきた管理費です。
しかし、各々が直接自分の家計から支払うわけではない。
するとどうしても関心が薄くなってしまい、いわゆる丼勘定になってしまっているケースが多くなります。
実際に支払われるのは、これまで現に区分所有者が自分の財布から支払ってきたお金です。
いったん積立を経由することによって、”自分のお金だ”という意識が希薄にならないよう、お金の出自をしっかり意識することが大切です。
ただ、私はここで「お金に厳しくなって、とにかく安いものを選びましょう!」という話がしたいわけではありません。
管理会社も営利企業ですから、 安易に”大手だから”とか”強くおすすめされたから”とか、提示されたものを”なんとなく”選んでしまうと、痛い目を見てしまうことがあります。
適切な費用が適切なところに使われていることが大切なのです。
安さだけを求めて、きちんと調べないまま管理会社を選んでしまうことは言語道断です。
では、そのバランスをどう見極めるのか?そこで考えるのが次の指標です。
②「管理組合が求める管理にきっちりマッチするか」
全てを管理会社に任せられればこれほど楽なことはありませんが、当然その分の対価が必要です。
高額の管理費用が負担にならないのであれば、有効な手段のひとつではありますが、現実にはそんな管理組合は少ないはずです。
そこで、自分たちの手で何ができて、自分たちでは手が回らないところはどこか、という分析をしてみることが大切です。
課題を1つずつ明らかにして整理し、管理会社に委託したいことをある程度固める。
そうすれば、背伸びして不相当な管理費で管理会社に委託することもなければ、自分たちの目的とすることを得意とする管理会社を選ぶことに尽力できるはずです。
※マンション管理士に相談するにしても、資料やデータに詳しく、管理会社との新規契約や変更(リプレイスと称する管理士も多いようです)を得意とする管理士、ということを重点的考えればよいでしょう。
このふたつの指標を管理組合全体で統一的に意識することができれば、良い管理会社とのめぐり会いはもう目前だと言えます。
しかし、ここで絶対に忘れていただきたくないことがあります。
それは、
「高いお金を払って管理させているんだ。丸投げでも勝手にがんばってくれるだろう。」
ではなく、
「自分たちで手が回らないことを、お金を払って管理会社にお願いしているんだ。」
という意識を持つことです。
地震や豪雨などの自然災害も最近はとくに目立ちます。
そのような外的要因がなくとも、管理が行き届いていないマンションは老朽化が早く、安心して暮らすことができなくなってしまうことも大いにあり得ます。
せめて自分たちの手の届く範囲は、全員で手を取り合って守ってゆきたいと思いませんか。
今回のシリーズはここで完結とさせていただきますが、私もそんな管理組合のみなさんのお手伝いができるよう、引き続き管理士として精進していきたい所存ですので、今後ともよろしくお願いいたします。
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