区分所有法大解説 ― Introduction ―

マンション管理士

「マンション管理士たるもの、その基本である区分所有法の正確な知識をきっちりと保ち続けなければ…!」

という高い理想と目標から、区分所有法の逐条解説的なものを書いていきます。

ひとまず、区分所有法の全体は第一章~第三章で、条文数で言うと全72条です。

1週間に2~3条ずつ解説できるのが理想とすると、だいたい30週間。
8か月くらいで終わるかとは思うんですが、1条ごとのボリュームもまちまちですから、どうなることやら…。他の記事も書きたいですし…。

まぁ、これまた考えていても仕方ないので、自分の復習と研鑚を兼ねて、がんばって書いていくと決めました。

 

今まさにマンションに住んでいて、何か困りごとのある方。
これからマンション管理士試験、管理業務主任者試験にチャレンジする方。

区分所有法はマンションに関わる方であれば、切っても切れない関係にあることは間違いありません。

私の解説を読んで、わからないところ、もっと知りたいところなど、いろいろなコメントやご意見をくださると幸いです。

 

第一回である今回は、区分所有法というものの概説について。
(早速第一条の開設には辿り着いていません笑)

※私の解説では、できるだけ平易で誤解のない表現ができるように心がけています。
あまりに専門的すぎるところに足を突っ込みかけた場合には、素直に「専門的すぎるので割愛します」という風にしておこうと思います。
その個所について詳しくお知りになりたい場合には、またメッセージでのやりとりもさせていただきますし、私の手に負えない部分に関しては正直にそう申し上げます。

それでは頑張ってまいりましょう。

そもそも、区分所有法って何なんだ?

 

「そんなこと言われても、そもそも区分所有法って何?」

という方も多いことでしょう。

簡単に説明するなら、

分譲マンション(の部屋)を持っている人に関する法律”

ということになると思います。

そして、私がわざわざ”分譲マンション(の部屋)“としたことには、大きな理由があります。

それは

マンションの全部を一人で持っている場合、区分所有法は関係がない

という原則になっているからです。

そもそも、私たちの生活の一般的なルールは”民法”という法律によって決められています。
とはいえ、基本的に契約などは自由に内容を決めることができますし、私たちが何かを買うときなどには”商法”とか”消費者契約法”という法律が適用されます。

これに関しては、

基本ルールを定める民法(一般法)に対して、特別に商法が適用される(特別法)

という風な決まりがあり、”特別法は一般法に優先する“とされています。

特別法には、一般法に決められていないことを補足したり、一般法で定められているルールよりももっと明確にルールを定めたり、という性格があるということなのですね。


まず、民法においては一つの物に対しての所有者は一人だけ(一物一権主義)という風に決められています。
もちろん、共有という概念はありますので、一つの土地を夫婦でお金を出し合った場合には、夫婦二名で一つの土地を共有することになります。

 

この前提のうえで、そろそろ区分所有法の話に参りましょう。

 

では、分譲マンションの場合を考えてみてください。

Aマンションの101号室を買ったXさん。

同じく、

Aマンションの203号室を買ったYさん。

XさんとYさんは、Aマンションという同じ建物ではあれど、明確に違う部分を所有していますね。

でも、別々に部屋を所有していて、それで

“別々の不動産を別々に所有しているんだ!”

という意見はわかるにしても、じゃあ階段は?エレベーターは?排水パイプは?外壁は?

こんな風に考えると、マンションの所有権は意外とややこしいことになっていそうだなぁ、ということがお分かりいただけると思います。

そんなややこしさに対応するために作られたのが”建物の区分所有等に関する法律”、略して”区分所有法”なのです。

「自分で買ってないから、エレベーターが壊れて動かなくても知ったこっちゃない!」

「私は誰とも関わるつもりがないし勝手にやるから、他のみんなで勝手にいろいろがんばってよ!」

 

というようなことがないように、区分所有法という法律を作ってルールを決めたわけですね。

 

そして、区分所有法は民法との関係では特別法ですから、一般法である民法に優先するのです。

 

ちなみに、前半で書いた

マンションの全部を一人で持っている場合、区分所有法は関係がない

というところなのですが、これは例えば通常の賃貸マンションなどですね。

つまり、大家さんが離れたところに住んでいようが、同じマンションに住んでいようが、一つの建物につき一人(共有も可ですが)が全部を所有している場合には、区分所有法は適用されないのです。

※ただ、この場合は、大家さんが他人に複数の部屋を貸しているということになりますから、借地借家法という特別法が適用されることになります。

 

また、理論的には、分譲マンションの部屋それぞれを全部買った、一人のオーナーがまるごと所有している場合にも、区分所有法は適用されないということになります。
このあたりの線引きも追って解説していくことになると思います。

 

まとめ:ズバリ、区分所有法とは

分譲マンションの部屋それぞれに所有者がいて、その所有者たちがうまく暮らしていくための独特な法律。

たとえば、

・直接自分が買っていなくても、壁などについてはみんなで持っていることにしよう。

・大家が存在して仕切ってくれているわけではないから、所有者それぞれで協力し合ってマンションの全体を管理するようにしよう。

このようなことを決めているのが区分所有法です。

 

 


以上が、区分所有法の概説です。
このざっくりしたイメージの有無で、今後の理解度がかなり変わってくると思います。

次回からは、少しずつでもわかりやすく条文解説を進めていきたいと考えています。

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