管理会社の選び方② ~何を?どこまで?はっきり意識しましょう~

マンション管理士

「管理会社はどうやって選べばいい?」そんな疑問にお答えするため、私は大きく分けて

①管理組合にあるお金と支出のバランス
②管理組合が求める管理にきっちりマッチする

という2点を軸に考えるのが良いのではないかと考えています。

①については前回の記事でお書きしましたので、今回は

②管理組合が求める管理にきっちりマッチする

ということについて解説していきます。

前回の記事
管理会社の選び方① ~管理会社との付き合い方について考える~

管理は丸投げではない。自分たちがやるべきことを委託している

なんでも安ければ安いほどいい。
…でも、やっぱり質は良くないと嫌だ!

こういう感覚が一般的なのではないかと思います。

ですが、”安かろう悪かろう”という言葉がありますから、安さだけを重視すべきでないことは間違いありません。

かといって、”高い=誰でも絶対に満足する”ということでもないのもまた事実です。

じゃあ、”質がいい”というのはどういうことなのでしょうか。

私は、それこそが

②管理組合が求める管理にきっちりマッチする

管理なのだと考えます。

たとえば、簡単なイメージでも結構なので、”質がいい管理”を思い浮かべてみてください。

・常勤の管理員を置いてくれて、共用部分の清掃や点検はいつもバッチリ
・月に何度も担当のフロントマンが巡回に来てくれて、よく話を聞いてくれる

などなど、管理組合もしくは人それぞれに様々な形があると思います。

でも、それはあくまでイメージであって、イメージ通りの管理が果たしてベストな管理なのでしょうか。

そこで、少し目を向けていただきたいのですが、

・管理会社に何をどこまで委託するのか

という風に考えることが大切ではないでしょうか。

言い換えれば、

・何を管理会社にしてもらいたいか

ということになるのではないでしょうか。

たとえば前回の通り、質問者様のマンションの場合、進んで管理を引き受けられていた方がおられたということです。

この方はどのような方だったのでしょうか。

たとえば定年退職された後だとか、自営業で時間に融通が利くとか。
いろいろな背景があると思われますが、その方が引き受けられていた範囲はどのようなものだったのでしょうか。
その方にお願いしていたことの中で、自分たちで頑張って取り組むことができることはどれでしょうか?

そうして、管理会社に委託したいことがある程度わかってきたとしたら、しめたものです。

共用部の清掃、ゴミの管理だけでも頼みたいのか。
毎度の理事会や総会の運営をしっかり支えてもらいたいのか。
管理費・修繕積立金の出納管理を厳密にしてもらいたいのか。

そうすれば、背伸びして不必要な管理まで管理会社に委託することもなければ、自分たちの目的とすることを得意とする管理会社を選ぶことに尽力できるのではないでしょうか。

そして何より大切なのが、

「管理会社に全部まかせている。高いお金を払っているし、丸投げでも安心だ。」

という意識ではなく、

「自分たちで手が回らないことを、お金を払って管理会社にお願いしているんだ。」

という意識を持つことだと思います。

※ちなみに、マンション管理会社に管理の委託契約を締結するにあたって、”マンション標準管理委託契約書”というものが、国土交通省によって定められ、公開されています。

マンション標準管理委託契約書 (国土交通省:http://www.mlit.go.jp/より)

これはあくまで標準として定められているものであり、この内容すべてを委託することもあれば、その一部だけ(会計や総会業務だけ等)を委託することももちろん可能です。
もちろん、一部委託であればその分費用を抑えることも可能となります。

このマンション標準管理委託契約書をもとに、管理の費用と内容のバランスをうまく考え、管理会社やマンション管理士と相談を重ねて管理会社を検討するということがおすすめだと私は考えています。

値段?緊急対応?何が大切か、しっかり話し合いましょう

ちなみに、共用部分のエレベーターや消防設備などの管理も、管理会社が請け負っていることが多いと思います。

ちょっと突っ込んだ話になりますが、先日大阪で大きな地震が発生しました。

その地震でマンションのエレベーターが安全装置などにより運転を停止してしまい、不運にも閉じ込められてしまった方がたくさんおられたと聞いています。

エレベーターが止まってしまうと、業者がやってきて復旧しなければなりません。

しかし、地震ともなると、同時に何百、ともすれば何千ものエレベーターが停止してしまっているわけです。
何百棟ものマンションを抱えている管理会社だったら、復旧対応もてんやわんやで手が回らなくなってしまい、復旧が遅れてしまうということがあったようです。

このようなケースを考え、エレベーターの管理・保守を行うにあたって、管理会社で一元的に管理するよりもメンテナンスを行う独立系の会社に委託しておいたほうが良いとする意見もあります。

上記のようにエレベーターや消防設備など、様々な設備において、経費節減の観点から独立系の会社を探したいという相談を頂戴することが増えつつあります。

この場合は、値段が安いことはもちろんですが、緊急時にどれだけ迅速に有効な対応ができるか、というところもかなり重要なポイントになってくると思います。


管理会社の選び方について、2回に渡って解説してきました。
次回のまとめをもって、このシリーズはいったん終了です。

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