かなり更新の間が空いてしまっておりました。
モチベーションがなくなってしまった…というわけではないのですが、ありがたいことに消防設備業が忙しくなったり、消防設備士の資格を連続で取りに行ったり、その他いろいろなことをやっているうちにどんどんと日数が経過してしまっていたのでした。
※消防設備士の資格については、需要があるかわかりませんが、また別の機会に記事を作って簡単なイントロダクションくらいを書いてみようと思っています。
はてさて、そんな毎日だったのですが、一体何がドタバタのウェイトを一番占めていたのか。
それはもう間違いなく、タイトルにあるように、“民泊”です。
民泊に絡む消防設備の是正が、かなりの手間と時間が必要なものだったのです。
※ちなみに、マンション管理士の立場からすれば、”民泊はトラブルを生むもの”だという意識が少なからずあるのが正直なところです。
その証拠に、多くのマンションでしっかりと
・規約による民泊禁止
・民泊禁止の旨の掲示
などの措置が取られているわけです。
しかし、今私が関わっている民泊は、分譲ではなく賃貸マンションにおける民泊です。
そのため、根本的にマンション管理士が関わる余地はなく、好意的に捉えてビジネスのお手伝いをする、という自分自身の意識改革に少し手こずりました。
「民泊を排除するためにはどうしたらいいのか?」
「民泊禁止のために規約改正をしたいがどんな手順を踏めばいいのか?」
という風な相談をマンション管理士として受けることはあれど、民泊を運営するため相談にも乗る。
そう言うと、
「あべこべで八方美人なやつだ!」
と受け取られることもあるかもしれません。
でも実際は、同じように民泊をテーマとする話ではあっても、
分譲マンションにおける民泊と賃貸マンションにおける場合では、争点がまったく別なのです。
これはなかなか面白い話だと思います。
今、大阪ではマンション・長屋での民泊が大人気!
今年度は、民泊新法が施行され、大手の民泊仲介サイトであるAirbnbが違法に運営されている民泊を全て掲載停止にした、というニュースをご覧になった方も多いことと思います。
そもそもの発端は、経済発展のためのインバウンド政策。
しかし、積極的にインバウンドに取り組むにしても、宿泊するところが足りないというところ。
海外(主にアジア系)からの旅行客がたくさんと訪日してくれることにより、経済効果がかなり大きいのは明らかなのですが、泊まるところがなければ、満足に旅行客を受け入れることなんてできるはずもありません。
そこで、特にインバウンドにおける需要がある地域、東京都大田区や大阪市が国家戦略特別区域(いわゆる特区)として指定され、特区民泊が発展し始めました。
ただ、特区民泊には最低滞在日数があったり、かと思えば条例で自治体が好きに設定できたり、かといって新法に基づくなら今度は営業可能日数の上限があったりと、制度がなかなか複雑なのです。
更に、民泊として営業するということは、消防法上それがマンションの一室であれ一軒家であれ、ホテルだとして扱われることになります。
意外!?民泊と消防設備には密接な関係が…!
消防法では、ホテルや飲食店、病院や老人ホームなど、不特定多数の人員が多く訪れるところや、体力的に不安のある人員を多く収容している建物などを特定防火対象物(いわゆる特防)という風に定めます。
特防の場合、一般的な住宅などよりも設備の設置基準などが厳しくなったり、また、消防点検の結果を消防署に報告する頻度が高くなったり、という具合です。
一般的には、分譲マンションでもワンオーナーの賃貸マンションでも、マンションであれば消防法上は共同住宅として扱われます。
そして、共同住宅は特防ではなく、単なる防火対象物です。
しかし、共同住宅の一階部分に飲食店や病院などが入っている場合、それは複合用途のマンションとなり、その場合は特防となります。
そうなった場合、共同住宅の設備では特防としての基準をクリアできないことになります。
とはいえ、クリアできないならクリアさせれば良いだけの話ですから、基準に満たない設備は交換したり付け足したりすれば良いだけです。
理屈の上では、それだけの単純な話に思いますが、
・マンションの全階にスプリンクラーを付けろ!
・各部屋の天井にある火災報知器の感知器を全部交換しろ!
・火災報知器を交換しろ!
というような基準を突き付けられると、その費用は多大なものとなってしまうのです。
すでに居住者のあるマンションで、すべての住戸を含む天井にスプリンクラーの配管をねじ込む。
そもそも消火用のポンプから設置する必要がある。
火災報知器に関する配線を全部交換する必要がある。
すでに完成したあとのマンションに、あとからこのような設備を増設することは簡単なことではありません。
マンションの規模によっては、平気で1000万円を超えるような設備投資が必要になってしまうわけです。
しかし、これらをクリアしなければ、正式に民泊として運営することができません。
それでもこれまでは新法も施行されていませんでしたし、なぁなぁで済ませてくることができていたのです。
つまり、適法でない民泊、いわゆるヤミ民泊が横行していました。
民泊として正式に運営されていない物件でも、Airbnbなどの大手仲介サイトに登録さえしてしまえば、多くの旅行客の目に留まり、大阪などの繁華街においては基本的に満室状態。
手軽なビジネスとして浸透するも、清掃やカギの管理などのずさんさが露呈し始め、痛ましい事件もいくつか報道される始末でした。
そうなると、”民泊はトラブルを生む”というステレオタイプが生まれてしまうのも致し方のないことだと思いますし、平穏な生活を望む方々からは反感を買ってしまうことも自然な流れなのでした。
そしてついに民泊新法が施行され、前述のようにAirbnbが違法民泊を排斥し、民泊ビジネスの在り方が様変わりしたのでした。
私はそのあたりのタイミングで消防設備士として業務を行うようになったため、リアルタイムでその様変わりを肌で感じることができました。
また次回以降で解説していきたいと思います。
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