区分所有法大解説 ”第一章① 第一節総則 第1条”

マンション管理士

第一章 建物の区分所有

第一章 建物の区分所有

第一節 総則

(建物の区分所有)
第一条  一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年四月四日法律第六十九号)より引用


区分所有法第一章第一節総則。

基本的には、

区分所有法という法律が、どのような法律であるか。
区分所有法において、用語の取り決めはどうなっているのか。

といったようなことをあらかじめ名言しておくセクションですね。

そして、この第一条においてはどういうことが言いたいのか、というと、

「ひとつの建物のなかに、区切られた(区分された)状態で、それぞれ独立して住居や店舗などに利用できる部分がある場合は、その部分を所有(区分所有)してもいいことにします。
でも、細かいルールも含めて、この区分所有法の取り決めに従ってくださいね。」

ということになると思います。

※”一棟の建物に構造上区分された数個の部分”というのは、なかなかに奥深い部分です。
細かくは”不動産登記法”という別の法律に定められていたり、その判断は土地家屋調査士の職域になってくるかと思いますが、基本的には

「①構造上の独立」≒「空間的に壁や天井などで仕切られている」
「②利用上の独立」≒「きっちり単独で利用できる(他の人が区分所有している部分を通らなければいけない場合は単独と言えない)」

という要件をクリアしているかどうか、ということろが大切になってきます。

このあたりは、続く二条で言及されている”専有部分”とか”共用部分”という概念がわかると同時に理解が深まると思いますが、現時点で軽く例を出すならば、

「みんなで使う廊下を通るだけで、ドアで区切られた部屋の中に入ることができる」

という場合には、①も②も満たすことができる=区分所有ができる

のですが、その一方で階段や廊下の一部分をバリケードで囲っただけのスペースなどは①を満たさないため区分所有することはできないのです。

②については、例えば、マンションの一室(2LDK)で考えてみましょう。

下図を見てください。

このように、すでに区分所有されている2LDK(仮に、202号室)があったとします。

玄関の西側、赤く囲われた部分はサービスルーム(納戸)です。

この部分を区分所有したい=202号室の中をもう一つ区分したい

ということは不可能なのです。

それはなぜか。下図を見てください。

このように、玄関から入って、DK部分を通過しなければサービスルームに入ることができないため、これは「②利用上の独立」を満たしていない、ということになるのです。
※この間取りの場合、サービスルームに限らず、南側にある和室も区分所有は不可能ですね。
ただ、サービスルームが、玄関とは別に直接外部から入室できるよう、渡り廊下やドアの増設などを施せば、区分所有の要件を満たすことになる可能性はあります。

ちなみに、これは建築基準法の分野になりますが、サービスルームとは、窓からの採光量が基準を満たしていない(採光のための窓などの開口部と床面積の割合:通常は1/7)ことなどから、人が暮らす居室としては認められない部屋だということです。


以上、区分所有法第一条の解説はいかがでしたでしょうか。

条文は、ひとつずつ丁寧に読んでいけば、ある程度理解することは難しくないのですが、どうにも日本語として美しくない(一読してすぐに理解できるとは思いづらい)ものが多いことが、敷居を引き上げてしまっています。

できるだけわかりやすく、かつ、理解のために必要かと思われる知識については脱線しながらも解説していきたいと思っています。

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