民泊考察② ―これからに要注目・特区民泊―

民泊

前回の記事では、不動産関連業界のトレンド的に紹介されることのある民泊について軽い紹介を行いつつ、実際に大阪市の住民としての民泊の浸透具合について、私見ながら書かせていただきました。
民泊考察①-大阪特区の住人として-

続く今回は、前は軽く説明しただけに留まった”特区民泊”という制度について考えてみたいと思います。

特区民泊って、何なんだ?

そもそも民泊とは、個人の家を宿泊用に貸し出すわけなのですが、このことについては旅館業法において明確な定義が存在しませんでした。

2008年度からのAirbnbの台頭、増加する外国人観光客による宿泊施設不足などを受けて、民泊についてできるだけ明確なルールを定めた上で活用したいということで、”国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例”(通称:民泊条例)というものが制定されることになりました。
この条例下で行われる民泊は、旅館業法の適用を受けず、新たな民泊という定義のもとに営業できる(=特区民泊)ことになったのです、

ただ、こちらの民泊条例は、”使用期間が7日~10日間であること”という厳しいルールがあること、更に、民泊条例を定めることができる地方自治体が限られている上に、そもそも民泊条例をその地方自治体が定めるかどうかというところも委ねられているのです。

そのため、はじめから民泊条例を制定したのは、東京都大田区・大阪府大阪市という2つの地方自治体に留まることになり、民泊事業者の数もかなり少ない、というスタートを切ることになりました。

そうして、条例の内容が再考され、”2017年から、使用期間を最低2泊3日とする”という風に規制緩和がなされることになりました。

この規制緩和を受けて、大阪市は2017年から最低2泊3日の特区民泊を可能としましたが、大田区は現在のところ6泊7日を継続している、というのが現状ということです。

“これで大歓迎ムードか!”と思いきや…?

これで民泊のハードルがかなり下がった、ということで、

「集客できそうな人脈があるから、民泊用に物件を借りて自分も民泊をやりたい」
「自分が投資用に持っているマンションを民泊に提供したい」

と考える方も増えているようです。

しかし、実際には、民泊を行うことができるかどうかにあたっては、クリアすべき様々なハードルがあります。

例えば、賃貸物件で民泊を行うのであれば、オーナーがNoと言えばそれでもう民泊は不可能になりますし、投資用マンションなどは管理規約で民泊禁止と明言されているケースもかなり多くなっています(まさにマンション管理士への相談案件でもあります)。

やはり、不特定多数の人間がしょっちゅう出入りするということに対する抵抗感があるというのが大きな理由でしょう。
分譲マンションで、住人同士のマナーやルールが高水準にキープされていても、一部が民泊して提供されていることで、トラブルが持ち込まれる可能性はやはり否定できません。

実際、賃貸物件などをReins(レインズ:不動産流通機構という、法定の不動産業者専用ネットワーク)で検索するときも、”民泊不可”という条件が名言されていることがほとんどです。

また、Airbnbは、旅館業法による簡易宿所としての民泊を対象としているため、特区民泊の仲介を行うことはできません。


現在、住宅宿泊事業法(民泊新法)という法律の制定も進められていますし、民泊は今後も発展する事業であるはずですから、要注目なことは間違いありません。

ただ、まだまだ新しいモデルでのビジネスと言えますから、運用のルールも不完全ですし、その分いろいろな可能性・伸び代があります。
マンション管理士に近いものも感じますね。

民泊について考察すべき事項はまだまだたくさんありますし、今後も当ブログで民泊について考えていく機会を増やしたいと思います。

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